ステッピングモータ
ステッピングモータは入力パルス信号の数に比例した回転をするモータです。回転速度はパルス信号の周波数により可変でき、回転角度はパルス信号数により決まります。単位ステップ角はロータとステータの機械的構造により決められています。最大の特徴は位置検出機構が不要でオープンループ制御ができ、累積誤差がありません。また起動停止反転などの応答性が優れています。総じて低コスト対応ができ、ブラシレスのため長寿命でメンテナンスフリーです。
主な種類
VR 型(リラクタンス形)
磁性材で作られた歯車形状のロータ構造で、ステータ側の回転磁界によりロータを吸引反発させ、回転します。
PM 型(マグネット形)
多極マグネットを用いたロータ構造で、ステータ側の回転磁界によりロータを吸引反発させ、回転します。無励磁のときに、保持トルク(ディテントトルク)が発生します。
HB 型(複合、ハイブリッド形)
VR 型と PM 型の複合タイプで、磁性材の歯車形状をロータ外周部に持ち、内部軸方向に磁極を持つマグネットを有した構造であり、ステータ側の回転磁界によりロータを吸引反発させ、回転します。
駆動方式
ステッピングモータを駆動する場合は、モータの巻線に直流電圧及び電流を順次切りかえて励磁する必要があるため、ステッピングモータ専用のドライバーが必要になります。定電圧駆動回路と定電流駆動回路の二種類があります。
フルステップ方式
ステップ角が基本ステップ角度で駆動する方式です。(2相励磁)
ハーフステップ方式
ステップ角が基本ステップ角度の 1/2 の角度で駆動する方式です。(1相励磁)
マイクロステップ方式
ステップ角が基本ステップ角度の 1/N の角度で駆動する方式です。モータの巻線に流す電流を電気的手法で N 分解してモータを滑らかにさせる方式です。従って上記が矩形波に対して、正弦波に近い電流波形になり、共振帯は大幅に低減し低速回転時にも低振動な回転になります。
結線図
ユニポーラ方式
モータ巻線に対し一方向の電流を流す駆動方式で回路構成が簡単です。巻線のインダクタンスが低く、高周波域での動作に有利です。
バイポーラ方式
モータ巻線に対し正逆方向に電流を流す駆動方式で回路構成が複雑です。巻線の利用効率が高く低周波域での高トルクを必要とする場合に有利です。
一般仕様
項 目 | 仕 様 |
ステップ角度 | 1.8° |
角度精度 | ±5%(フル ステップ、負荷無) |
コイル抵抗精度 | ±10% |
インダクタンス精度 | ±20% |
温度上昇 | 最大 80℃(定格電流、2相 1N) |
使用環境 | -20℃~+40℃、湿度 85%以下 |
絶縁抵抗 | 100MΩMin. 500VDC |
絶縁耐圧 | 500VAC/分 |
ラジアル振れ精度 | Max.0.02mm(450g 負荷) |
アキシャル振れ精度 | Max.0.08mm(450g 負荷) |
最大ラジアル許容値 | (個別に別途規定) |
最大アキシャル許容値 | (個別に別途規定) |
回転方向 | CW(軸端側から見て) |
特 徴
・高応答性(ロータ慣性モーメントが小さい)を実現。
・高出力トルクを実現。
・□20~□110 と広範囲なラインナップの充実。
用 途
プリンター、FAX、複合機から、アミューズメント、医療機器、梱包機に至るまで幅広い方面での実績あり。