ブラシレスDCモータ

一般的にブラシ付 DC モータでは、固定子側が磁石であり回転子に巻線回路が存在するため、回転子に電気を供給するためブラシをコミュテータ(整流子)と呼ばれる接点と接触させる必要がある。これに対してブラシレス DC モータでは回転子側が磁石であり、電気を供給する必要がない。巻線回路は固定子側にあり転流は電子回路によって行われる。転流には回転子の磁極に合わせたタイミング検出が必要であり、ホール素子などにより磁極の角度を検出している。転流回路のスイッチング素子にはトランジスタ、FET、IGBT などが使用される。ブラシレスのため長寿命で、電気ノイズがなく、低速から高速域までの広範囲な速度制御が可能で、高効率、高出力で小型化が可能になります。

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主な種類(構造上)

アウターロータ形

ロータのイナーシャが大きく定速回転に有利で高トルクが出せますが、起動停止には時間がかかります。


インナーロータ形

ロータのイナーシャが小さいため起動停止に有利ですが、マグネットのサイズが小さい分、高磁力の素材を使うなどして工夫する必要があります。


アキシャル形

円板状のマグネットに巻線を対向させる構造をとるので、モータ外径を比較的大きくする代わりに、薄型(扁平形)にすることができるが、構造上エアギャップが大きくなり効率面では不利となります。

駆動方式

3相全波(又は半波)方式

120°通電法(台形波通電)と 180°通電法(矩形波)とがある。更により正弦波に近い電圧電流波形にするために、PWM 駆動にし高周波をかける制御回路が一般的になっています。この場合、1回転の分解能の高い位置センサー(エンコーダ)方式も必要になってきます。


2相全波(又は半波)方式

90°通電法と 180°通電法とがある。構成素子数が少なく低コストで製作できますが、デッドポイント(不起動点)が生じやすく、その対策が必要になります。汎用のファンモータなどに採用されております。

結線図

基本的に、⊿(デルタ)結線と Y(スター)結線とがある。3 個のコイルあるいは3相巻線の条件が同じであれば、Y 結線のモータはそれと等価の⊿結線に置き換えることができる。リード線の配ピンについては、図3参照願います。

一般仕様

項   目 仕   様
巻線タイプ ⊿又は Y 結線
ホール素子 電気角 120°
軸振れ 0.05mm 以下
絶縁クラス クラス B
使用環境 -20℃~+40℃、湿度 85%以下
絶縁抵抗 100MΩMin. 500VDC
絶縁耐圧 500VAC/分
ラジアル振れ精度 Max.0.02mm(450g 負荷)
アキシャル振れ精度 Max.0.08mm(450g 負荷)
最大ラジアル許容値 (個別に別途規定)
最大アキシャル許容値 (個別に別途規定)
回転方向 リバーシブル

特 徴
・高応答性(ロータ慣性モーメントが小さい)を実現。
・高トルク高回転、ワイドな変速範囲を実現。
・φ22~□86 と広範囲なラインナップの充実。

用 途

FA(搬送、ロボットなど)、HA(電気機器、防犯機器など)から、事務機器、医療福祉機器、環境関連に至るまで幅広い方面での実績あり。

モータ写真